理学療法士が転職するとき、履歴書の志望動機欄は「何を書けば前職の不満に見えないのか」「欄が小さいのに職務経歴書と何を分けるのか」で手が止まりやすい場所です。
結論から言うと、志望動機欄は200〜300字の1枚の答案として「施設に合う理由」「自分が出せる経験」「入職後にやりたいこと」の3点だけを書き、症例の詳細は職務経歴書に回すのが基本です。この記事は、転職を考えている理学療法士(新卒1〜3年目・ブランクあり・異業種から戻る方を含む)向けに、施設別5本・状況別4本、合計9本の例文を載せています。
例文の「○年」「○床」などの数字は自分の実績や求人票の情報に置き換えてください。面接での回答は理学療法士の転職面接で聞かれること15選で扱うので、ここでは履歴書の欄に書く文章だけに絞ります。
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履歴書の志望動機欄に書くこと・書かないこと
理学療法士は国家資格なので、履歴書の資格欄だけで専門性は伝わります。志望動機欄で採用担当者が見ているのは、なぜこの施設を選び、入職後に何を担ってくれそうかです。日本理学療法士協会の統計では、会員142,540名(2025年3月末)のうち約半数が病院・診療所などの医療施設、約11,000名が介護サービス施設で働いており、職場の種類が幅広い分、施設ごとの違いを理解しているかが見られます。
出典:日本理学療法士協会「統計情報」(2025年3月末時点)
- 志望する理由:その施設の機能・方針・患者層のどこに惹かれたか(求人票や公式サイトで確認した事実を入れる)
- 活かせる経験:担当してきた疾患や期間を1〜2点だけ(詳細は職務経歴書へ)
- 入職後の貢献:チームの中で何をしたいか、どんな成果を出したいか
履歴書と職務経歴書の役割は分けて考えます。履歴書は「応募の動機を短く伝える書類」、職務経歴書は「経験の中身を示す書類」です。同じ文章を両方に書くと、読む側は情報が増えないまま2回読むことになります。履歴書には結論と意欲、職務経歴書には症例数・疾患別の経験・取り組みを書くと、役割が重なりません。
履歴書の志望動機に書かないほうがよいこと
- 給与・休日・残業の少なさだけを理由にする(条件交渉は面接や内定後に)
- 前職の人間関係や上司への不満をそのまま書く
- どの施設にも使える一般論(「地域医療に貢献したい」だけ)
欄の大きさ別の書き分け(200字・300字・400字)
履歴書の志望動機欄は書式によって大きさが違います。市販の履歴書や厚生労働省が示している履歴書様式例を使う場合は、まず欄の行数を数え、1行あたりの文字数と掛けて上限を出してから書き始めます。手書きかデータ入力かでも収まる量が変わるため、「欄の8割を埋める」のが目安です。
出典:埼玉労働局「厚生労働省履歴書様式例」(様式例の案内ページ)
| 欄の目安 | 入れるもの | 省くもの |
|---|---|---|
| 200字前後 | 志望理由1点+活かせる経験1点+入職後の意欲1文 | 具体的な症例名、数字の羅列 |
| 300字前後 | 上記に、施設の特徴との結びつきを1〜2文足す | 職務経歴書と重なる業務内容の詳細 |
| 400字前後 | 上記に、キャリアの方向性と学び続ける姿勢を足す | 前職の不満、条件面の希望 |
なお、字数の目安は一般的な書き方の整理です。応募先が字数を指定している場合は、そちらを優先してください。
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前職の不満を前向きに言い換える変換表
転職理由の本音が「単位数が多すぎる」「教育体制がない」でも、そのまま書くと不満に見えます。転職支援サービスの記事でも、「同じようなリハビリばかりで経験が積めない」を「多様なリハビリ経験を積める現場で働きたい」と言い換える例が紹介されています。事実は変えずに、「何が足りなかったか」を「次に何をしたいか」へ向きを変えるのがコツです。
| 本音(そのまま書かない) | 履歴書での言い換え |
|---|---|
| 1日の単位数が多く、1人にかけられる時間が短い | 一人ひとりの患者さんに向き合う時間を確保し、評価と介入を丁寧に行いたい |
| 先輩の指導や勉強会がなかった | 症例検討や勉強会が盛んな環境で、臨床力を高めたい |
| 同じ疾患ばかりで経験が偏っている | 幅広い疾患に対応できる職場で、対応力を広げたい |
| 人間関係が合わない | 多職種と連携しながら進めるチーム医療の環境で力を発揮したい |
| 残業や持ち帰りの業務が多い | 業務を効率化し、リハビリの質を保ちながら長く働き続けたい |
| 給与が上がらない | 成果が評価される環境で、責任ある役割を担いたい |
言い換えた内容は、面接で深掘りされても説明できるものにします。「教育体制の整った環境」と書いたなら、応募先のどの制度(新人教育、症例検討会、学会参加支援など)に惹かれたのかを答えられるようにしておきましょう。
施設別の志望動機例文5選
施設の種類によって、採用担当者が確認する点は異なります。例文の「○年」「○床」などの数字は、自分の実績に置き換えてください。応募先の機能や人員体制は、求人票と公式サイトで確認した事実だけを入れます。
1. 急性期病院(見られる点:ADL・リスク管理)
急性期では、早期離床の判断、バイタルや画像所見の確認、リスク管理の力が見られます。
例文(約280字)
これまで○年間、回復期病院で脳血管疾患と整形外科疾患の患者様を担当してきました。回復までの過程を支える中で、発症直後の介入が機能予後に大きく影響することを実感し、急性期での早期リハビリに挑戦したいと考えるようになりました。貴院は○床の急性期病院で、救急搬送後の早期離床に力を入れていると伺っています。前職で身につけたリスク管理の視点と評価力を活かし、多職種カンファレンスでも根拠をもって提案できる理学療法士を目指します。一日も早く戦力となれるよう、学び続ける姿勢で取り組みます。
2. 回復期リハビリテーション病棟(見られる点:FIM・チーム)
回復期は、在宅復帰を目標にしたチームアプローチが中心です。令和6年度の診療報酬改定では、回復期リハビリテーション病棟入院料1で入退院時の栄養状態の評価にGLIM基準を用いることが要件になるなど、多職種連携の比重が上がっています。FIM(機能的自立度評価)の扱いに慣れているかも書くと伝わります。
出典:PT-OT-ST.NET「診療報酬改定情報(回復期リハビリテーション病棟入院料)」(2026年10月確認。施設基準の詳細は厚生労働省の告示・通知で最新版を確認してください)
例文(約300字)
○年間、急性期病院で理学療法士として勤務し、発症早期の患者様に介入してきました。退院後の生活に関わる機会が少なく、在宅復帰まで一貫して支えたいという思いが強くなり、回復期リハビリテーション病棟を志望しました。貴院は○床の回復期病棟で、看護師・作業療法士・言語聴覚士・社会福祉士と連携し、ご自宅への退院を目標にしていると拝見しました。急性期で培った全身管理の知識と評価の経験を活かし、FIMなどの指標をもとに目標を共有しながら、患者様が生活に戻るまでを支えたいと考えています。
3. 訪問リハビリ・訪問看護ステーション(見られる点:単独対応・移動)
訪問は、1人でご自宅に伺い、評価から家族指導まで完結させる力が見られます。運転免許や移動手段、直行直帰などの働き方に触れておくと、実務のイメージが伝わります。
例文(約270字)
病院勤務の○年間で、退院後に在宅で困っている患者様やご家族の声を聞く機会があり、生活の場で関わりたいと考えるようになりました。貴ステーションは、利用者様のご自宅での動作や環境に合わせたリハビリを大切にしていると伺っています。病院で身につけた評価力と、ご家族への動作指導の経験を活かし、介護支援専門員や看護師とも情報を共有しながら、その人らしい暮らしを支えたいと考えています。運転免許(普通自動車)を持っており、訪問エリアの移動にも対応できます。
4. 介護施設(老健・特養・デイサービス)(見られる点:生活期の視点)
生活期では、機能回復だけでなく「いまの生活を維持する」「介助者の負担を減らす」視点が評価されます。
例文(約260字)
病院で○年間勤務し、退院後の生活を支える仕事に関心を持つようになりました。貴施設は、利用者様の「できること」を日常生活に取り入れる支援に力を入れていると拝見しました。病院で培った評価力に加え、介護職員の方々との連携を大切にしながら、移乗や歩行の方法を共有し、安全で自立した生活を続けられるよう支援したいと考えています。機能面だけでなく、生活全体を見て関わる理学療法士になりたいと考え、志望いたしました。
5. クリニック・整形外科(見られる点:外来対応・接遇)
クリニックは外来が中心で、1日の患者数が多く、接遇や回転の速さも見られます。スポーツ分野や運動器の経験があれば、施設が力を入れる領域に合わせて書きます。
例文(約250字)
○年間、病院で運動器疾患を中心に担当し、術後の患者様が日常生活やスポーツへ復帰する過程に関わってきました。より多くの患者様の痛みの悩みに、外来の場で継続的に関わりたいと考え、貴院を志望いたしました。貴院は整形外科に特化し、運動療法と物理療法を組み合わせたリハビリを行っていると伺っています。前職の評価・運動指導の経験を活かし、患者様一人ひとりの生活や仕事に合わせたプログラムを提案し、再発予防にも取り組みたいと考えています。
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状況別の志望動機例文4選
経験年数やブランクによって、採用担当者が気にする点が変わります。足りない点は隠さず、「これから何をするか」をセットで書くのがポイントです。
1. 経験者(5年以上)の転職
経験者は、即戦力としての役割と、チームでの立ち位置が見られます。
例文(約290字)
○年間、整形外科疾患と脳血管疾患を中心に担当し、後輩の指導や症例検討会の運営も任されてきました。臨床の経験が増える中で、チーム全体の質を高める役割にも関わりたいと考え、教育や病棟運営にも力を入れている貴院を志望しました。これまでの経験を活かして担当患者様の治療成績を高めるとともに、新人の指導や勉強会の企画にも積極的に関わり、貴院のリハビリ部門に貢献したいと考えています。
2. ブランクがある場合
ブランク期間は、理由を簡潔に述べ、復帰に向けて取り組んだことを添えます。ブランク明けの職場選びは理学療法士のブランクがあっても就職しやすい職場の選び方も参考にしてください。
例文(約270字)
育児のため○年間、理学療法士の業務から離れておりましたが、お子様の成長に伴い、再び臨床に戻りたいと考え応募いたしました。ブランク中は、最新の知見に触れるためオンラインの講習を受講し、基本的な評価の流れを見直してきました。貴院は復職者向けの研修と、時短勤務の制度が整っていると伺いました。以前の○年間の経験を土台に、まずは基本の業務から確実に身につけ、チームの一員として貢献したいと考えています。
3. 新卒1〜3年目の転職
早期の転職は、「辞めたい」ではなく「身につけたいこと」を軸にします。1〜3年目のキャリアの悩みは理学療法士1年目の辞めたいの記事で整理しています。
例文(約250字)
理学療法士として○年間、急性期病院で整形外科疾患を中心に担当してきました。基本的な評価と治療の経験を積む中で、脳血管疾患の患者様に継続して関わり、機能回復の過程を深く学びたいと考えるようになりました。貴院は回復期に特化し、症例検討や外部研修への参加を支援していると伺い、志望いたしました。これまで学んだ基礎を活かしつつ、先輩方からの指導を素直に吸収し、早く戦力になれるよう努力します。
4. 異業種から理学療法士に戻る場合
一度別の業界で働いた方は、異業種で得たスキルを理学療法士の仕事にどう活かすかを書きます。
例文(約270字)
理学療法士として○年間勤務した後、○年間は一般企業で営業職を経験しました。顧客の課題を聞き取り、相手に合わせて提案する力を身につける中で、再び患者様の生活を支える仕事に戻りたいという思いが強くなりました。リハビリの現場を離れていた期間は、関連書籍や講習で知識の更新に努めています。営業で培ったコミュニケーション力を活かし、患者様やご家族との信頼関係づくりに貢献しながら、臨床力を取り戻していきたいと考えています。
志望動機のNG例と提出前チェック
志望動機は、書き終えてから見直すと違いが出ます。次のNG例と照らして、提出前に確認してください。
| NG例 | なぜ伝わらないか | 直し方 |
|---|---|---|
| 「貴院の理念に共感しました」だけ | どの理念のどこに共感したかが不明 | 公式サイトの具体的な方針や取り組みを1つ引用する |
| 「幅広く経験を積みたい」だけ | 何を学びたいのかが見えず、受け身に見える | 学びたい疾患・分野と、学んだ後にしたいことを書く |
| 職務経歴書と同じ内容の繰り返し | 履歴書で伝えたい意欲が埋もれる | 経験は1〜2点に絞り、詳細は職務経歴書に任せる |
| 前職の不満が文章の中心 | 同じ理由でまた辞めそうに見える | 前章の変換表で前向きな表現に直す |
- 施設名・病棟名・所在地・担当者名に誤字がないか
- 求人票や公式サイトで確認した事実を1点以上入れたか
- 経験の数字(年数・疾患)を実際の職務経歴と一致させたか
- 200〜300字を目安に、欄の8割前後で収まっているか
- 履歴書の志望動機と、面接で話す内容が食い違っていないか
面接の回答に落とし込むときは理学療法士の転職面接で聞かれること15選を参考にしてください。他職種の書き方を知りたい方は、看護師の志望動機例文や介護職の志望動機例文も役立ちます。
志望動機を書く前に、そもそもどの施設に応募するかが決まっていない場合は、転職エージェントに相談して求人を比べると、施設の特徴を具体的に書きやすくなります。医療系の転職エージェントの選び方も参考にしてください。
よくある質問(FAQ)
まとめ
- 志望動機欄は「施設に合う理由・活かせる経験・入職後の貢献」の3点を200〜300字で書く
- 経験の詳細は職務経歴書に任せ、履歴書と重ならないようにする
- 前職の不満は、変換表のように「次にやりたいこと」へ言い換える
- 急性期・回復期・訪問・介護・クリニックで見られる点が違うので、施設に合わせて書き分ける
- 例文の数字は自分の実績に置き換え、施設情報は求人票と公式サイトで確認する
志望動機は、一度書いて終わりではなく、応募先ごとに書き直す書類です。施設の特徴を調べる時間が、そのまま志望動機の説得力になります。まずは気になる施設の公式サイトを開き、使える一文を1つ見つけるところから始めてみてください。以下のサービスでは、業界に特化した無料の転職相談が可能です。
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