「派遣と正社員、どっちが自分に合っているんだろう」と迷っている看護師は多い。時給の高さが魅力の派遣、安定とボーナスが魅力の正社員。選択を間違えると「思っていたのと違った」という後悔につながる。
この記事では、年収・働き方・キャリア・ライフスタイルの4軸で両者を徹底比較し、あなたに合う選択肢を明確にする。厚労省・スーパーナース・日本看護協会の最新データをもとに書いている。
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派遣vs正社員:基本の違いを一覧で確認
まず全体像を把握する。以下の比較表で「何が違うか」を一目で確認してほしい。
| 比較項目 | 正社員(病院・施設直雇用) | 派遣看護師 |
|---|---|---|
| 月収(目安) | 36万3,500円 | 35万2,000円(時給2,200円×160h換算) |
| 年収 | 519万7,000円 | 約422万円(ボーナスなし換算) |
| ボーナス | 年間平均83万5,000円 | なし |
| 退職金 | あり(施設による) | なし〜積立型に限定 |
| 雇用期間 | 無期限 | 最長3年(法律上限) |
| 残業 | 月平均5.1時間(実態は約14時間) | 契約外業務は強制されにくい |
| 昇給・昇格 | あり | なし |
| 勤務地・曜日の選択 | 施設の指示に従う | 自分で選択できる |
| 社会保険 | あり | あり(同一労働同一賃金以降) |
出典:厚生労働省「令和6年賃金構造基本統計調査」・スーパーナース「看護師は派遣の方が稼げる?」(2024年)
月収だけ見ると大きな差はないが、ボーナスと退職金を含めると生涯収入に大きな開きが出る。詳細は次の章で確認する。
年収・収入の違い:実際にいくら差がつくか
正社員看護師の年収
厚労省の令和6年賃金構造基本統計調査によると、正社員看護師の平均年収は519万7,000円(平均年齢41.9歳、平均勤続9.8年)。内訳は月給36万3,500円+年間賞与83万5,000円だ。
出典:厚生労働省「令和6年賃金構造基本統計調査」看護師(2024年)
| 年代 | 平均年収(正社員) |
|---|---|
| 20〜24歳 | 401万4,700円 |
| 25〜29歳 | 474万1,500円 |
| 30〜34歳 | 487万1,500円 |
| 35〜39歳 | 485万3,100円 |
| 40〜44歳 | 521万6,200円 |
| 45〜49歳 | 551万8,700円 |
| 50〜54歳 | 566万6,100円 |
| 55〜59歳 | 585万9,300円(ピーク) |
出典:厚生労働省「令和6年賃金構造基本統計調査」(2024年)
年功序列が残る病院・施設では、勤続年数が長くなるほど年収が上がる。50代で580万円台に達するケースも珍しくない。
派遣看護師の年収
派遣看護師の時給相場は1,500〜2,300円(都市部1,600〜2,400円)。三大都市圏の平均時給は2,139円(2024年 スーパーナース調べ)。
出典:スーパーナース「看護師は派遣の方が稼げる?」(2024年)
時給2,200円×160時間/月で換算すると、月収35万2,000円・年収422万4,000円になる。月収単体では正社員とほぼ同水準だが、ボーナスがない分、年間で約100万円の差が生じる。
派遣と正社員の年収差イメージ
正社員:月給36万3,500円 + 賞与83万5,000円 = 年収519万7,000円
派遣(時給2,200円):月収35万2,000円 × 12ヶ月 = 年収422万4,000円
→ 年間差額:約97万円(正社員が多い)
ただし夜勤ありの派遣なら月収56万円に達するケースもある(レバウェル看護調査)。夜勤を積極的に入れられる人であれば、派遣の方が手取り月収で上回ることもある。
出典:レバウェル看護「派遣看護師の給料相場は?」(2024年3月)
看護師の年収全般について詳しく知りたい場合は、看護師の平均年収・年代別データまとめも参考にしてほしい。
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派遣看護師のメリット・デメリット
メリット
- 勤務地・曜日・時間帯を自分で選べる(ライフスタイル優先で働ける)
- 時給が高く、特に夜勤ありの場合は月収が大きく上がる
- 残業強制が少ない(契約外業務を断りやすい)
- 最短1ヶ月〜の短期就業が可能(育休復帰の足慣らし・施設のお試し就業に最適)
- 2020年4月の同一労働同一賃金施行以降、社会保険・有給休暇が正規並みに整備
- 複数の職場を経験でき、スキルの幅が広がる
デメリット
- ボーナスがなく、年収が正社員より年間約100万円低くなる傾向
- 雇用上限が最大3年(労働者派遣法)→ 長期雇用・昇格・昇給なし
- 退職金制度がない(または派遣会社の積立型に限定)
- 施設の内部研修に参加できないケースがある
- 「派遣だから」と重要な業務から外されることがある
- 勤務先が変わるたびに人間関係を一から構築する必要がある
出典:レバウェル看護「派遣看護師のメリット・デメリット」・スタディング「派遣看護師とは」
派遣の最大のリスクは3年ルールだ。同一施設で3年を超えて働くためには、直接雇用(正社員・パート等)への切り替えが必要になる。派遣のまま続けたい場合は別の施設へ異動するしかない。
子育て中や夜勤を減らしたい時期の活用法については、看護師・子育てしながら転職するならパートと正社員どっちがいい?も合わせて読んでほしい。
正社員看護師のメリット・デメリット
メリット
- 年間ボーナス平均83万5,000円(正社員のみ。勤続年数で増える)
- 退職金制度あり(多くの病院・施設)
- 昇給・昇格のキャリアパスが明確
- 院内保育・住宅手当・奨学金返済支援などの福利厚生が使える
- 雇用期間に上限がなく、安定して長期就業できる
- 施設内研修・スキルアップ制度を利用できる
出典:JILPT「正規雇用看護職員の離職率は11.3%に/日本看護協会調査」(2025年4月)
デメリット
- 月平均5.1時間の残業が発生(日本看護協会2024年度調査。実態はサービス残業含め約14時間という報告もある)
- 配置転換・異動を断りにくい
- 職場の人間関係が固定され、合わない環境が続く場合に影響が大きい
- 夜勤・オンコールなど、ライフスタイルに合わせた柔軟な調整がしにくい
残業の実態は施設によって大きく異なる。残業・夜勤の実態は求人票だけでは把握しにくいため、転職エージェントを通じて内部情報を入手することが重要だ。転職先の選び方については、看護師の転職先おすすめランキングで詳しく解説している。
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派遣が向いている人・正社員が向いている人
派遣看護師が向いている人
- 育児・介護など家庭の事情で勤務日数・時間帯を調整したい
- 特定の診療科や施設タイプをいくつか経験したい
- ブランク明けで、いきなりフルタイム正社員は不安(足慣らしに最適)
- 夜勤を積極的に入れて短期間で稼ぎたい
- 特定の地域・通勤時間にこだわりたい
ブランク後の復職を考えている場合は、看護師ブランクからの復職を怖いと感じる人へも参考になる。
正社員看護師が向いている人
- 長期的なキャリア(認定看護師・専門看護師・管理職)を目指している
- ボーナス・退職金など、トータルの生涯収入を重視する
- 1つの職場で人間関係・チームワークを深めたい
- 施設の福利厚生(院内保育・住宅手当)を活用したい
- 安定した雇用で長く同じ職場で働きたい
正社員での転職先の選び方については、看護師転職エージェントおすすめランキングで詳しく解説している。
雇用形態とキャリアの関係
派遣でキャリアは積めるか?
派遣でも臨床経験は積めるが、施設内の教育研修・昇格ルートには乗れないことが多い。認定看護師や専門看護師の資格取得を目指すなら、教育支援が充実した正社員施設の方が有利だ。
2025年3月時点で特定行為研修の修了者は11,840人に達した。この資格を取得することで、将来の転職市場での競争力が大きく上がる。派遣から正社員へのステップアップを考えるなら、研修支援制度のある施設を正社員として選ぶことが近道だ。
出典:厚生労働省「特定行為に係る看護師の研修制度」(2025年)
派遣から正社員へのステップアップ
「まず派遣で経験を積んでから正社員に切り替える」という戦略も有効だ。特に以下のケースで活用されている。
- 気になる診療科・施設タイプを派遣で体験してから正社員入職を判断する
- ブランク後にリハビリ的に派遣で勤務してから正社員に復帰する
- 派遣先での実績を評価されて直接雇用(正社員)のオファーを受ける
夜勤なしで働ける正社員の求人については、看護師・夜勤なしで転職できる職場の選び方で職場タイプ別に解説している。
看護師の雇用形態別割合(2024年末)
看護師全体の81.8%が正規雇用で、派遣は約1.0%に過ぎない。非正規(パート・アルバイト含む)は16.8%程度だ。
出典:厚生労働省「衛生行政報告例(就業医療関係者)令和6年」
有効求人倍率は2.37〜2.41倍(令和6年度)と依然として高く、転職市場での看護師の需給は逼迫している。雇用形態にかかわらず、条件を吟味する交渉力は十分にある。
よくある質問
まとめ
- 年収は正社員が年間約100万円多い(ボーナス・退職金の差が大きい)
- 月収単体は大きく変わらないが、夜勤ありの派遣は月収56万円も可能
- 派遣は「柔軟な働き方・短期就業・足慣らし」が強み。3年の雇用上限に注意
- 正社員は「安定・キャリアアップ・生涯収入」が強み。残業や配置転換がある
- 育児・ブランク明け・複数施設の体験には派遣が向いている
- 長期的なキャリアアップ・収入最大化には正社員が向いている
- 迷っている場合は看護師特化エージェントに相談するのが最短ルート
派遣か正社員かの選択は、今の自分のライフステージと優先事項によって変わる。「今は派遣で柔軟に働き、数年後に正社員へ切り替える」という段階的な戦略も十分に現実的だ。
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