「介護業界に興味はあるけど、男性でもやっていけるのか?」「将来的に年収は上がるのか?」
高齢化の加速と深刻な人手不足を背景に、男性介護士の需要は年々高まっています。同性介護のニーズや身体介護での体力面の優位性から、男性の活躍の場は確実に広がっている状況です。
この記事では、男性介護士の需要が高まっている背景から平均年収データ、キャリアパスの選択肢、男性ならではの強みと課題、さらに処遇改善加算による待遇改善の最新動向までを網羅的に解説します。介護業界への転職を検討している男性は、ぜひ最後までお読みください。
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男性介護士の需要が高まっている背景
深刻な人手不足と高齢化の加速
介護業界は慢性的な人手不足が続いています。厚生労働省の推計では、2025年に約32万人の介護職員が不足するとされており、人材確保は業界全体の最重要課題です。
出典: 厚生労働省「第7期介護保険事業計画に基づく介護人材の必要数について」
介護関係職種の有効求人倍率は3.97倍(2025年5月公表)と、全産業平均の約3倍の水準です。つまり、介護士1人に対して約4件の求人がある「超売り手市場」が続いています。
男性介護士の割合と推移
令和4年度の介護労働安定センター調査によると、介護職員全体に占める男性の割合は20.9%です。約5人に1人が男性ということになりますが、10年前と比較すると着実に増加傾向にあります。
男性の平均年齢が42.2歳と女性より約7歳若い点も注目です。30代〜40代の働き盛りの男性が介護業界に参入していることがわかります。
男性が求められる3つの理由
介護現場で男性が求められる具体的な理由は以下の3つです。
1. 同性介護のニーズ
入浴介助や排泄介助など身体に直接触れるケアでは、利用者が同性の介護士を希望するケースが少なくありません。男性利用者にとって、異性からの介助は心理的な抵抗が大きい場合があり、男性介護士の存在は利用者の尊厳を守るうえで不可欠です。
2. 身体介護での体力面の優位性
移乗介助(ベッドから車いすへの移動)やリフトを使った介助では、体格や筋力が大きなアドバンテージになります。体重の重い利用者の介助は腰痛リスクとの戦いでもあり、体力のある男性介護士は現場で頼りにされる存在です。
3. 夜勤やトラブル対応への期待
夜間は少人数体制のため、力のある男性が夜勤シフトにいることで現場の安心感が高まります。利用者の不穏行動への対応やセキュリティ面でも、男性介護士は心強い戦力として評価されています。
男性介護士の平均年収と給料の実態
介護職全体の平均年収
2024年の調査データに基づく介護職の平均年収は以下のとおりです。
| 区分 | 平均年収 | 備考 |
|---|---|---|
| 常勤介護士(全体) | 約406万円 | 月給制・全資格平均 |
| 介護福祉士 | 約420万円 | 国家資格保持者 |
| ケアマネジャー | 約430万円 | 居宅・施設平均 |
男性介護士の年収目安は約427万円
男性介護士の年収は、女性と比較してやや高い傾向にあります。これは男性のほうが夜勤回数が多い傾向にあることと、常勤比率が高いことが主な要因です。
介護福祉士の常勤・月給制の平均月収は35万50円(2024年)で、2017年比で7年間に約51万円増加しています。男性の場合、夜勤手当を含めると年収420〜440万円が現実的な水準です。
資格別の年収比較
| 資格 | 年収目安 | 月収換算 |
|---|---|---|
| 無資格・介護ヘルパー | 310〜360万円 | 約22〜26万円 |
| 介護職員初任者研修修了 | 330〜380万円 | 約24〜27万円 |
| 実務者研修修了 | 360〜400万円 | 約26〜29万円 |
| 介護福祉士 | 400〜440万円 | 約29〜32万円 |
| ケアマネジャー | 380〜450万円 | 約27〜33万円 |
無資格から介護福祉士になると年収差は約90〜100万円。資格取得が年収アップの最短ルートであることは間違いありません。介護職の年収データの詳細は「介護職の年収・給料の実態」で解説しています。
男性介護士の年収を全産業と比較
全産業の男性平均年収は約540万円(国税庁 令和5年)です。男性介護士の約427万円はこれを約110万円下回ります。
ただし、処遇改善加算の拡充により年々差は縮まっており、管理職・施設長に昇進すれば年収500〜600万円台に到達する男性介護士も珍しくありません。年収アップの具体策については「介護士の年収を上げる方法」もあわせてご覧ください。
男性介護士のキャリアパス|管理職・施設長への道
介護業界には明確なキャリアアップのルートが存在します。男性は管理職昇進率が高い傾向にあり、長期的なキャリア形成に有利です。
ステップ1: 未経験から介護福祉士(3〜4年)
介護福祉士取得までのロードマップ
- 入職〜半年: 現場で基本介護技術を習得。初任者研修を受講(費用3〜10万円、最短1ヶ月)
- 1〜2年目: 実務者研修を受講(450時間以上、費用8〜20万円)
- 3年目〜: 実務経験3年+実務者研修修了で介護福祉士国家試験の受験資格を取得
- 合格率: 約70〜75%(しっかり対策すれば十分合格可能)
介護福祉士を取得すると、資格手当(月額平均9,055円)が加わり、年収は約10万円以上アップします。
介護福祉士の資格手当について詳しくは「介護福祉士の資格手当の相場」をご確認ください。
ステップ2: ケアマネジャーへの転身(5〜8年目)
介護福祉士として5年以上の実務経験を積むと、ケアマネジャー(介護支援専門員)の受験資格が得られます。
| 項目 | 詳細 |
|---|---|
| 受験資格 | 介護福祉士等の実務経験5年以上 |
| 合格率(第28回・2025年度) | 25.61%(受験者50,601人 → 合格者12,961人) |
| 平均年収 | 約429万6,000円(月給30.1万円+賞与67.6万円) |
| 居宅ケアマネ月給 | 20〜40万円 |
| 施設ケアマネ月給 | 34〜42万円 |
出典: 三幸福祉カレッジ、日本介護支援専門員協会
ケアマネジャーは身体介護から離れてケアプラン作成がメイン業務になるため、体力的な負担を軽減しながら年収を維持・向上できるキャリアパスです。
ステップ3: 管理職・施設長(10年目〜)
男性介護士のキャリアで特筆すべきは管理職への昇進率の高さです。介護職全体では男性は約2割ですが、施設長やフロアリーダーなどの管理職に占める男性比率はそれを大きく上回ります。
管理職・施設長の年収目安
- フロアリーダー・主任: 年収400〜480万円
- サービス提供責任者: 年収420〜500万円
- 施設長・ホーム長: 年収500〜650万円
- エリアマネージャー(大手法人): 年収550〜700万円
管理職に就くために必要なのは、現場経験と資格に加えてマネジメント能力です。スタッフのシフト管理、利用者家族への対応、行政への書類作成など、介護技術以外のスキルが求められます。
その他のキャリア選択肢
管理職以外にも、男性介護士には以下のキャリアの広がりがあります。
- 生活相談員: 利用者・家族の相談対応。コミュニケーション力を活かせる
- 福祉用具専門相談員: 福祉用具の選定・提案。営業的なスキルが活きる
- 介護事業の起業: 訪問介護事業所やデイサービスの開設
- 介護DX関連: ITスキルを活かした介護記録システムの導入支援
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男性介護士の5つの強み
1. 身体介護での体力的アドバンテージ
移乗介助・入浴介助・体位変換など、身体的な負荷の高い業務で男性は圧倒的に有利です。特に体重が80kg以上の利用者の介助では、女性介護士2人がかりの作業を男性介護士1人で対応できるケースもあります。
2. 夜勤対応力の高さ
男性介護士は女性と比較して夜勤を希望・継続する割合が高い傾向にあります。夜勤手当は1回あたり8,200〜12,900円(施設による)で、月10回入れば年間100〜155万円の夜勤手当が上乗せされます。
3. 管理職への昇進率が高い
前述のとおり、介護業界では男性が管理職に就くケースが多いのが特徴です。少数派であるがゆえに目立ちやすく、実績が評価されやすいという構造的なメリットがあります。施設長やエリアマネージャーへの昇進を目指す場合、男性であることは一つのアドバンテージです。
4. 利用者からの信頼を得やすい場面がある
男性利用者にとっては同性の介護士のほうが気兼ねなく相談できる存在です。「趣味の話が合う」「同性だから入浴介助を任せやすい」という声は多く、特に男性利用者が多い施設では男性介護士の存在が利用者満足度に直結します。
5. 異業種からの転職経験が活きる
介護業界に転入する男性の多くは製造業・建設業・サービス業などの異業種出身です。前職で培った体力・チームワーク・ビジネスマナー・ITスキルは介護現場でも重宝されます。特にIT関連のスキルは介護記録のICT化が進むなかで大きな武器になります。
未経験からの転職について詳しくは「介護職に未経験から転職する方法」をご覧ください。また40代からの参入を検討している方は「介護職40代男性未経験からの転職ガイド」も参考になります。
男性介護士が直面する3つの課題
1. 収入の伸び悩みと全産業平均との差
前述のとおり、男性介護士の年収は全産業平均を約110万円下回ります。20代・30代のうちは他業界との差が小さいものの、40代以降に差が開く傾向があるのが現実です。
ただし処遇改善加算の効果は確実に出ており、2024年度は2.5%、2025年度はさらに2.0%のベースアップが予定されています。7年間で月収が約4万円以上改善された実績を考えると、今後も着実な待遇改善が見込まれます。
2. 結婚後の経済的プレッシャー
介護業界の離職理由4位は「収入が少なかった(16.6%)」です。特に男性の場合、結婚や子育てのタイミングで「家族を養えるのか」という不安から他業界への転職を検討するケースがあります。
出典: ドクターメイト(介護労働安定センター 令和5年度調査引用)
この課題を乗り越えるためには、資格取得→管理職昇進のキャリアプランを早期に描くことが重要です。介護福祉士+ケアマネのダブル資格で施設長を目指せば、年収500万円台は十分射程圏内です。
3. 女性中心の職場環境への適応
介護職の約7割は女性です。男性が少数派であるがゆえに、コミュニケーションの取り方や人間関係の構築に気を配る場面が出てきます。
とはいえ、介護業界全体の離職率は12.4%(令和6年度)で、全産業平均の14.2%を下回っています。職場の人間関係に関する問題は介護業界に限った話ではなく、近年は男性比率の増加とともに職場環境も変わりつつあります。
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介護職に向いている男性の特徴
介護業界で長く活躍している男性には共通する特徴があります。以下のチェックリストで、自分の適性を確認してみてください。
介護職に向いている男性の特徴チェックリスト
- 体力に自信がある: 移乗介助や入浴介助など身体を使う業務が日常的にある
- コミュニケーションが苦にならない: 利用者・家族・スタッフとの対話が業務の中心
- 人の役に立つことにやりがいを感じる: 感謝される場面が多い仕事
- 冷静にトラブル対応できる: 夜間の急変対応や認知症のBPSD対応が求められる
- 長期的なキャリア形成を考えている: 資格取得→管理職のルートが明確
- 異業種の経験がある: チームワーク・ビジネスマナー・ITスキルは大きな武器
逆に「体力的にきつい仕事は避けたい」「年収の上限が気になる」という方は、デスクワーク中心のケアマネジャーや生活相談員を最初から目指す方法もあります。
介護職の志望動機を考える際には「介護職の志望動機例文」を参考にしてください。
処遇改善加算による待遇改善の最新動向
3つの加算が一本化(2024年度改定)
2024年度の介護報酬改定で、従来バラバラだった3種類の処遇改善加算が「介護職員等処遇改善加算」に一本化されました。これにより、事業所の事務負担が軽減され、より多くの施設が加算を取得しやすくなったのが最大の変化です。
具体的な賃上げ実績
| 年度 | ベースアップ率 | 月給への影響 |
|---|---|---|
| 2024年度 | 2.5% | 約7,500〜8,750円/月の賃上げ |
| 2025年度(予定) | 2.0% | 約6,000〜7,000円/月の賃上げ |
| 2017〜2024年の累積 | — | 月給約4万2,500円の増加 |
7年間で月収が約4万2,500円増加しており、年収に換算すると約51万円のアップです。この上昇ペースが続けば、2030年頃には介護福祉士の平均年収が450万円を超えることも十分に想定できます。
処遇改善加算の手厚い施設を選ぶポイント
加算の取得区分は施設によって異なります。転職時には以下の点を確認しましょう。
- 処遇改善加算の取得区分(加算Iが最も手厚い)
- 加算の配分方法(介護職員に直接支給されるか)
- 求人票の「処遇改善手当」の金額
- 過去3年間の昇給実績
よくある質問(FAQ)
まとめ
この記事のポイント
- 介護業界は有効求人倍率3.97倍の超売り手市場。男性介護士の需要は同性介護・身体介護・夜勤対応で高い
- 男性介護士の年収目安は約420〜440万円。資格と管理職昇進で500〜650万円も射程圏内
- キャリアパスは介護福祉士→ケアマネ→管理職・施設長が王道ルート
- 処遇改善加算により7年間で月収約4万2,500円増加。待遇改善は今後も続く見込み
- 収入面の課題はあるが、資格取得と長期的なキャリア形成で十分に克服可能
男性介護士の需要は高齢化の進展とともに今後も拡大が確実です。「体力を活かしたい」「人の役に立つ仕事がしたい」「長期的にキャリアアップしたい」という方にとって、介護業界は有力な選択肢といえます。
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